―リコーブラックラムズ池田選手―

夢への挑戦…
それは「自分を信じて目の前にやるべきことを 1個ずつやっていく。その積み重ね」
SBSホールディングスは、2021年よりジャパンラグビーリーグワン ディビジョン1、リコーブラックラムズ東京とオフィシャルパートナー契約を結び、ラグビーの価値の最大化、チームビジョンである「Be a Movement.」の実現に向けて、さまざまな活動を通じて一丸となり、多くのファンに感動と勇気を与えられるような取り組みを行ってきた。今回はチームの中心選手で、日本代表入りも期待されるブラックラムズ東京のCTB池田悠希に特別インタビューを行い、SBSの理念「For Your Dreams」と池田が持ち続ける〝夢〟、そしてその挑戦について話を聞いた。
4歳から始めたラグビー、そのとき胸に抱いた〝夢〟

――「For Your Dreams」というテーマでお話しをうかがっていきたいと思いますが、まず池田選手は「夢」という言葉にどのような印象をお持ちですか
「幼少時代からラグビー好きだった両親の影響もあって、日本代表戦とか、当時のトップリーグ、大学ラグビーをよく見ていました。そのときからいつも思っていたのが、『あそこに立ってプレーしたい』という気持ちでした。もう試合を見るたびに思っていたんです。今、自分の目標は日本代表としてピッチに立つこと、それからワールドカップに出ることですが、小さい頃のそういう思いが自分の夢につながったと思っています」
――幼少期からラグビーに親しまれていたと思いますが、競技として始めるきっかけはなんだったのでしょう
「きっかけは同じ幼稚園に通っていた友達がラグビーをやっていたことです。その子とは家族で仲がよかったのですが、『一緒にやろうよ』と、誘ってもらったのがきっかけだったと思います」
――そこからはラグビー一筋といったところでしょうか
「実は中学時代はラグビーをやめていたんです。通っていた学校にラグビー部がなく、バスケットボールをやってみたい思いもあって一度、競技から離れました」
――ただ、進学したのはラグビーの強豪校として名高い東海大仰星高(大阪、全国優勝6回)です
「東海大学は、ラグビーでもバスケットボールでも全国的な強豪チームです。大学まで競技を続けることを考えても、その付属高の東海大仰星に行けば、どちらの競技を続けるにしても〝正解〟だと思えたんです」
――そういった経緯で進学した東海大仰星高では第93回(2013年度)の花園で優勝。池田選手も優勝メンバーとしてピッチに立ちました。もう一度ラグビーに取り組もうと思われたのはどうしてだったのでしょう
「東海大仰星のラグビー部は、全国大会に出場するのではなく真剣に〝日本一〟を狙うチームだったからです。自分としても真剣に取り組むならそのレベルでやりたいという思いがあって、ラグビーに戻りました」
――ブランクもあり、苦労は相当だったと思います
「僕が知っていたのは小学校のラグビーでした(笑)。試合は見てはいましたが、人数も15人に変わり、ルール変更もあって…。そういった基本的なところから、体つきも全然違いました。部員も120人くらいいて、その中に高校日本代表が何人もいるような環境でした」
――出場メンバーに入るのも一苦労です
「ただ東海大仰星では初心者で入部する選手も、高校日本代表も全員一緒に練習するんです。レベルの差をすごく感じましたが、先輩たちが日本一を目指して練習している中で足引っ張るわけにはいかない。そういう意味では毎日が必死でした」
――でもそういった環境でも諦めなかった
「根拠はなかったのですが、『自分ならできる、やれる』と自分を信じていました。当然、1年生では試合に出られませんでした。ただそのとき自分で3年間の目標を立てました。まずは1年、高校ラグビーで戦えるようにしっかり体を作る。目標体重を定めて体作りに取り組みました。そして2年生でリザーブ(ベンチ入り)メンバーに入る。最後3年生で先発メンバーを勝ち取る。2年生でリザーブメンバーに入るというのは達成できませんでしたが、ものすごくレベルアップしているのを実感できました。『自分なら絶対にできる』と諦めず3年生になった時に先発メンバーを勝ち取ることができました」
――それだけに喜びも大きかったと思います。
「3年間は、花園で優勝するために練習をしてきました。それが達成できた瞬間というのは特別な感情になりました。競技を続けていく中で、チャンピオンになることはとても難しいことです。チームメートや指導者、それに運。さまざまなことが重なってチャンピオンにつながると思います。でも自分は長いことラグビーをやってきて、まだ1回しかチャンピオンは経験できていない。東海大時代の大学選手権は準優勝が2回でした」
――高校、大学とラグビーを続け、2021年にはブラックラムズ東京に加入しました。チームの中心選手としてプレーしているわけですが、ブラックラムズ東京はどんなチームですか
「まだまだこれからのチームだと感じています。去年はプレーオフに進出できませんでしたし、その前のシーズンは(10位で)入れ替え戦を戦いました。ただ、自分たちに力があるというのはみんなが思っていますし、昨シーズンはプレーオフまでもう少しでした。もう少しのところまで来ているという実感はありますし、僕たちは来シーズンもチャレンジャー。ハングリーな雰囲気はやっぱり練習からあると思います」
夢への挑戦に不安はつきもの…
それよりも「やるべきこと、やりたいこと、必要なことに集中」
――池田選手はラグビーを続けてきたなかで、常に「夢」に向かって「挑戦」を続けてきたように思えます
「ラグビーに戻ってから、高校は日本一を目指すチームでしたし、大学時代もそうでした。それは社会人になってからも同じで、常にレベルの高い環境に自分を置かせていただくことができています」
――思わぬ「壁」や「挫折」を経験したときはどうしているのでしょうか
「壁に当たる時はやっぱり自分の中で変化が必要な時だと思います。それはラグビーで言うとメンバーに選ばれないなどだと思います。ただそれには理由が絶対にあって、選ばれるレベルに達していないということなので、壁にぶつかったときに自分にその壁を乗り越えるために何が必要なのかをまず理解する。そうしたらあとは自分を絶対信じて努力を続けることですね。自信がないと対戦相手にも勝てないですし目標も達成できないと思います。自分に何が必要かということに対して、しっかりプランを立てて、目の前のことをやっていくことが必要です」

――お話しを聞いていると、とても強い意志を感じます
「根拠はないのですが、『自分にできないわけがない』という思いはずっと小さい頃からありました。それが一番大事なものだったと思います。あとは自分に必要だと思ったことをしっかりと理解して取り組んできたことの積み重ねなのだと思います」
――SBSグループの理念「For Your Dreams」のあとには「夢への挑戦が未来を拓く」と続くのですが、まさにそれを体現してきたようなラグビー人生ですね
「大変なことですけど、一つずつ確実にレベルアップしていければ、いつかはそこにたどりつけると思っていました。まずは自分の目の前のやるべきことを1個ずつやっていく。その積み重ねだと思います」
――池田選手の座右の銘「未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きる」これはSBSグループの理念の「For Your Dreams」にもつながるように感じられます
「何かを始めようとするとき、環境を変えたり、変わったりするとき、そこには不安がつきものだと思います。でも僕は『不安なんていま考えてもしょうがない』と考えるタイプです。今やるべきこと、今やりたいこと、今必要なことを、しっかり集中してやる。それが大事だと思います」
――ブラックラムズ東京では、ラグビースクールを通じて、また近隣の小学校へ選手らが出向いて授業を行う「ゲストティーチャー」のなど活動を通じて、子供たちに「夢」を持つこと、「挑戦すること」を伝えていますが、池田選手から伝えたいことはありますか
「夢を持つというのは、自分が歩いていく道筋を作ってくれるものですし、そこから自分のこれからやることが見えてくると思います。夢を叶える、目標を達成するためには『自分にできるかな』とか、『自分じゃできない』と思ってしまったらそれはできないと僕は思います。目標を持って、夢を持って進んでいくにあたって、壁を乗り越えたり、努力することが必要になってきます。それをやっていく上で一番大事なのは、自分を信じること。そして夢を持ったら、絶対に諦めない。それが達成するために必要なものだと思います」
――池田選手も日本代表選手になるという夢に向かって挑戦を続けている最中です
「昨年(2024年)の代表合宿に参加した際、エディー・ジョーンズヘッドコーチから言われたのはやっぱりハードワークすることがすごく大事だということでした。同時に「ラグビーに対して情熱を持ち続けなさい」と。自分がこうなりたいっていう強い思いがないと厳しい練習にも向き合えない。ずっと情熱を持ち続けることの大切がわかりました」
SBSは「とても身近に感じる…応援に感謝。いいプレー、試合で日々の活力に」

――夢への挑戦を続けるにあたり、周囲のサポートの心強さを感じることもあると思います。SBSグループをはじめとするパートナーの支援はどのように感じられていますか
「スポンサー企業の皆さんなくしてはチームは成り立たないですし、自分たちがラグビーに集中して取り組めているのは、スポンサー企業の方々の支援のおかげです。特にSBSホールディングスさんはジャージーに名前も入っていますし、とても身近に感じる存在です。とても近いところから応援していただいているので、感謝しています。そういった方たちにラグビーを通じていい影響を与えたいと思いますし、日々の活力になるようないいプレー、いい試合をしたいと思わせてくれるような存在です」
――応援の力は大きいですね
「すごく力になっています。応援に応えたい、プレーで返したいという思いをすごく大きくさせてくれます。応援していただけるとうれしいですし、僕自身も幼少期にラグビーをみて、元気をもらったり、生きる活力になっていたので、そういう存在になりたいという思いもあります。昨年に結婚して、家族も増えました。自分の夢を叶えることが、応援してくれる人の幸せや喜びにもつながると思っています。ラムズファミリー(ブラックラムズ東京ファンの愛称)やパートナー企業の方々はもちろんですが、ラグビーを通じて周りの人たちに恩返ししていけるようになりたいです」
池田 悠希(いけだ・ゆうき)1995(平成7)年5月21日生まれ、30歳。大阪府出身。大阪・東海大仰星高では3年時に花園優勝を経験。2014年に東海大に入学し、2年時、3年時に大学選手権で準優勝。18年にNTTコムに入団。21年にリコーに入団。24年には初めて日本代表合宿に参加した。代表キャップ0、187センチ、98キロ。
SBSホールディングスはブラックラムズ東京と2021年からオフィシャルパートナー契約を結び、さまざまなサポートを行ってきた。ラグビーを通じた地域への貢献も視野に、活動を続けるチームの〝夢〟と〝挑戦〟についてもブラックラムズ東京でスポンサーセールスを担当する大平義景さんに聞いた
SBSは「トップパートナー…支援がチーム全体にいい影響」
――ブラックラムズ東京と、SBSホールディングスとのつながりを教えてください
「SBSホールディングスさんには最初の頃からパートナーに入っていただいております。ジャージーにお名前も入れさせていただいて、我々の中でトップパートナーという位置づけでありまして、リーグワン初年度からチーム運営を助けていただいている企業さんです。またチームだけでなく、リコーグループの物流を引き受けていただいている「SBSリコーロジスティクス」とのつながりもありまして、グループ全体としても協業させていただいており感謝しております」
――物流会社として、チーム運営のサポートもされていると聞いています
「遠征時の荷物や、合宿時などに使う大がかりなトレーニング機器の輸送など、全面的にサポートしていただいております。それに加えてパートナーになってからはSBSリコーロジスティクスさんの方で、ブラックラムズ東京のロゴが入った特別仕様のトラックを仕立てていただきました。最初に見たときはとても驚きました。とてもかっこいいので選手たちのモチベーションにもつながっています」


――ラムズファミリー(ブラックラムズ東京ファンの愛称)の間でも話題沸騰だそうですね
「通常の輸送業務にも使われているそうで、ファンの方が写真を撮ってSNSにアップしてくれたりしているそうです。街中で見つけると幸運に恵まれるということで話題になったこともあります(笑)」
――グループを挙げての応援も心強いですね
「リーグ開幕前にかっこいい広告を出していただいたり、盛り上げにも一役買っていただいておりまして、われわれも感謝しております。SBSさんの支援がチーム全体にいい影響を与えてくれています」
――ブラックラムズ東京としての今後のビジョンを教えてください
「チームとして1つでも上での順位を目指す。これは現場の努力で達成することなんですが、それと同時にわれわれが目指しているのは、地元の人と、地域にどれだけ溶け込むか、密着できるか、ということです。ゲストティーチャーや地域貢献活動などに取り組んでいますが、目標としているのは、ブラックラムズ東京が核となって、地域の方々を巻き込んで、うねりを作っていこうということです。SBSさんはもちろんパートナー企業のみなさんとも、地元地域とも、行政ともつながって、ブラックラムズ東京を通じて横のつながりができるようなところまで持っていけたらうれしいです」
――ホームグラウンドの最寄り駅、二子玉川や成城学園前でもフラッグが掲出されるなど、盛り上がりが感じられます
「地元でラッピングバスも走っていますし、大きな後押しを感じます。応援していただける存在であり続けるために、今後もさまざまなことに取り組んでいきます」